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好酸球副鼻腔炎とは

好酸球副鼻腔炎とは

好酸球性副鼻腔炎は副鼻腔炎(蓄膿症)の中で最も難治性の病気です。治療が極めて難しく、根治の見込みがないため、長期間にわたって通院治療が必要となります。一般にはあまり知られていない病気ですが、平成27年7月1日より、難病法により好酸球性副鼻腔炎の中等症、重症は指定難病になりました。その患者数は約20.000人と報告されています。

原因と特徴

従来の副鼻腔炎は細菌感染が原因で起こるのに対して、好酸球性副鼻腔炎の原因は不明です。体内の好酸球(白血球の一種)が増加して異常な炎症を起こし、多彩な症状が出現します。

  • 成人発症が多い(発症年齢は40歳前後が多い)
  •  喘息(アスピリン喘息含む)や中耳炎を合併することが多い
  •  多発性の鼻茸(ポリープ)
  •  血中好酸球の増加
  •  CT検査では両側篩骨洞に病変が集中
  •  病理組織学的検査で鼻茸中にも好酸球が増加
  •  抗生物質の効果が低い
  •  ステロイド薬が有効
  •  治らない病気

好酸球は主に気道(鼻から気管支の空気の通り道)で増殖し、鼻では副鼻腔炎、気管支では気管支喘息を起こします。アスピリンや非ステロイド系解熱鎮痛薬(NSAIDs)により発作が誘発されるアスピリン喘息も好酸球性副鼻腔炎の重症タイプです。

さらに、鼻から耳管という管を通して中耳に波及して好酸球性中耳炎を合併することもあり、これも難治性です。まれに消化管に移行して、腸管で腸炎を起こす場合もあります。

診断

確定診断には内視鏡検査、血液検査、CT検査、鼻茸の病理組織学検査が必要です。

  1. 喘息の合併
  2. 好酸球性中耳炎の合併:抗生物質が効かない難治性の中耳炎を認める。中耳浸
    出液中に好酸球を多数認めれば、好酸球性中耳炎と診断できる。
  3. 一般血液検査:白血球の中で好酸球が増加する。
  4.  内視鏡検査:両側鼻腔に多発性の鼻茸を認める。

    写真1:右鼻腔に大きな鼻茸を認める。

  5.  CT検査:両側とも副鼻腔に陰影を認め、特に篩骨洞に病変が集中している。

    写真2:CT検査で両側篩骨洞に強い陰影を認める(矢印)。

  6. 鼻茸の病理組織学検査:好酸球性副鼻腔炎の確定診断に欠かせないものが、病理
    組織学的診断です。鼻茸を一部採取し病理組織学的検査を行うと、多数の好酸球を認める。

    写真3:病理組織学検査において、正常では紫の核をもった細胞(白血球の一種、好中球:写真左矢印)が隙間狭く規則正しく並んでいる。 好酸球性副鼻腔炎では赤く光った細胞(好酸球)が沢山見られる(写真中央及び右黄矢印)。細胞同士の間に白い部分(浮腫)が多く見られる(写真中央青矢印)。

治療

好酸球性副鼻腔炎の治療として確立されたものはなく、現在行われている有効性のある治療法は次の通りです。

1.手術療法

2.薬物療法

  • 急性増悪時:ステロイド内服の増量
  • 寛解期(落ち着いている期間):少量のステロイド内服による維持療法、抗アレルギー薬、鎮咳去痰剤や吸入ステロイド薬の併用など

3.鼻洗浄(鼻うがい)

難治性の好酸球性副鼻腔炎は、従来の慢性副鼻腔炎とは異なり抗生物質の効果が期待できません。ステロイド薬は有効ですが、副作用の問題があり長期間の服用は薦められません。このため薬物療法だけで寛解期を作り出すのは困難です

一般に、難治性の好酸球性副鼻腔炎には手術治療が第一選択となります。しかし、従来の慢性副鼻腔炎よりも再発率が高く、手術後6年間で半数が、アスピリン喘息を合併する症例では手術後4年以内に全例再発すると言われています。

このため、手術後の治療が最も重要であり、上記の治療法を複合的に組み合わせて行い、長期の経過観察が必要となります。すなわち、手術をしたら根治するというような事はありません。手術と薬物療法の複合的治療により初めてQOLの向上がはかれます

最後に

好酸球性副鼻腔炎は指定難病であり、完治する病気ではありません。このため、治療は何年にも及ぶ経過観察が必要ですが、症状が出ないようにコントロールできれば、命に係わる病気ではありません。

そして、この病気には軽症例から重症例まであるため、治療法の選択には個々の患者さんの病状をきちんと評価し、オーダーメイドの治療をする必要があります。
当院では好酸球性副鼻腔炎に対する難病指定医療機関ならびに指定医師の指定を受けました。好酸球性副鼻腔炎のケアーでお悩みの方は是非ご相談ください。

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