メニュー

上咽頭粘膜焼灼術

※ 県内遠方や他府県にお住いの方で手術後、

  経過診察にご来院頂けない患者様の手術はお断りさせて頂いております。

  必ず手術後の経過診察にご来院頂ける方のみ、ご案内させて頂きますので予めご了承下さい。

 

慢性上咽頭炎には確立された治療法はありません。一般に、EAT治療が行われますが、効果がなく再発する場合もあります。そこで、このような難治性の症例に対して、2017年より当院では上咽頭粘膜焼灼術を行っています。この手術は一般的治療ではありませんが、効果は約70%あります。ただし、1回の手術で治らず、2回以上行うこともあります。

(1) 使用する器械

アルゴンプラズマ凝固装置(Argon Plasma Coagulator : APC)は、アルゴンガスと高周波装置を結合させた手術器械です(写真2)。プローブ(写真3)先端からイオン化されたアルゴンガスを噴射し、高周波電流を流します。このArgon Plasma Beamで上咽頭を均一に凝固します。

 

(2) 手術前処置

麻酔約40分かけて鼻内から上咽頭にかけて、綿花を用いて浸潤麻酔を行います。このため、鼻では呼吸が出来なくなります。
点滴:鎮痛剤などが入っている点滴をします。
モニター機器装着:心電図、血圧計などのモニター機器を体に付けます。

(3) 手術

寝た状態で内視鏡を用いて上咽頭をAPCで凝固、固定します。手術は約10分で終わります(写真4)。
術後約1週間は鼻腔粘膜に滲出物(かさぶた)が付くため鼻が詰まりますが、約1週間後には粘膜の腫れもなくなります。そして、上咽頭の創部は約3ヶ月で瘢痕化します。しかし、後鼻漏などの症状が改善するには約6~7ヶ月かかります。

他府県に居住されている方で手術を希望される場合は、手術前に1日及び手術後に計3日来院して頂きます。来院ができない場合は手術をお受けすることができません。ご了承ください。

写真4:Argon Plasma Beam(矢印)で上咽頭を凝固

 

(4) 手術後の検討

1.対象症例:2017年6月1日から2021年3月31日の間に166例に対して上咽頭粘膜焼灼術(出力20W)を行い、手術後1年3ヶ月以上経過を観察できた151例を対象として検討を行いました。性別は男性が44例、女性が107例であり、手術前に行ったEAT治療の回数は0~266回(平均22.0回)でした。

2.症状:症状の内訳は、口腔・のどの症状が59.1%(225例/381例)、鼻の症状が14.4%(55例/381例)、疼痛が11.8%(45例/381例)、耳の症状が8.9%(34例/381例)、自律神経症状が5.8%(22例/381例)でした(図4)。

 

図4:症状の内訳

 

3.症状改善率:アンケート調査を行い、手術前に比べて70%以上症状が改善した割合(改善率)を検討しました。口腔・のどの症状は平均68.4%(154例/225例)、鼻の症状は平均83.6%(46例/55例)、疼痛などの症状は平均82.2%(37例/45例)、耳の症状は平均50.0%(17例/34例)、自律神経症状は平均77.3%(17例/22例)症状が改善しました。そして、全体では平均71.1%(271例/381例)の改善率でした(図5)。

 

図5:症状の改善率(合計381例)

4.再手術症例:151例中症状の改善率が70%未満であった25例に再手術を行い、手術後1年3ヶ月以上経過を観察できた14例を対象として検討を行いました。性別は男性が8例、女性が6例であり、70%以上症状が改善した割合(改善率)を検討しました。口腔・のどの症状は平均87.5%(21例/24例)、鼻の症状は平均50.0%(1例/2例)、疼痛などの症状は平均100.0%(4例/4例)、自律神経症状は平均100・0%(3例/3例)症状が改善しました。そして、全体では平均87.9%(29例/33例)の改善率でした(図6)。

 

図6:症状の改善率(合計33例)

(5) 今後の課題

慢性上咽頭炎に対して、上咽頭粘膜焼灼術はEAT治療と比較して効果はあると考えられます。しかし慢性上咽頭炎を完治させることはできません。現在、症状の改善率を向上させるために、2021年4月1日よりAPCの出力を30Wに上げて上咽頭粘膜焼灼術を行っています。

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME